イチオシレビュー一覧

姉妹がいる。
何故か片方が虐げられ、片方が寵愛される。
典型的なザマァ物語なのは間違いないが、その過程が酷すぎる。
はっきり言って小説を読んでハラワタが煮え繰り返る思いをしたのは久しぶりだ。
ストーリーには色々な仕掛けがあるが、特筆すべきは主人公の両親。文字通りの腐れ毒親そのもの。
『貴女のため』『愛のムチ』等、母親は自らの虚栄心を満たすために主人公に過大なプレッシャーを与え続け、その妹は甘やかしまくる。
そしてそんなクズ母親を心底愛する夫は、彼女のやることを全肯定することが愛だと信じて疑わない。
甘やかされた妹がA級戦犯なのは間違いないが、この毒親どもこそが元凶。
一応ハッピーエンドを迎えますが、元凶への断罪が生温いために少々消化不良気味。
一読の価値はあります。但し胃薬がいるかも。

貴女が羨ましかった
両親の愛情を注がれ、麗しく、可憐だった貴女が
私には、愛なんて向けて下さらないのに

貴女が妬ましかった
私が恋する人の隣に居た貴女が
私には、全くもって見向きもしてくださらないのに

――結局それは無い物ねだりであり、すれ違いであり、もしも、何か１つでも違えば、あんなことはならなかったかも知れない
でも現実とは意地悪なものだった
そうして、花は折れてゆく…

折れた花とて美しく、なればこそ拾う者はいるのだ
認められ、見留められ、そうして錆び付いた時計は漸く針を動かし始める――

言ってしまえば壮大な空回り。ifが許されるなら、もう少しはきちんと回ったのだろう
尤も、たらればなぞ後悔の１つの形に過ぎず、そして結局別のところが歪んでいたのだろう


あと少しずれていれば、なんて言葉が似合いそう
でもそんなのは起きなかったのがこの作品