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世界は本当に滅亡するのか。滅亡するとして、主人公は一体何を想うのでしょうか――。

 二十五年前に自死を選んだ双子の姉から、一年後に世界滅亡を告げられた主人公。
 双子の姉は主人公より美しく、頭も良くて運動もできて、だからこそなんでも完璧にあるよう求められ、それに耐えきれずに自死したのです。滅亡を告げられたのはのほほんと生きてきた主人公への嫌がらせだと姉は言いますが、主人公の反応は薄いものでした。
 主人公は別に何をするでもなく一年を過ごし、ごく平凡に世界最後の日を終え、明日があると信じて疑わない人々を見ながら、ビールを傾けます。

 世界は本当に滅亡するのか。滅亡するとして、主人公は一体何を想うのでしょうか。

 とても味わい深い純文学短編。
 おすすめです。面白いのでぜひご一読ください。

その瞬間、あなたは何を想いますか?彼女はこう想った――

∀・)おはようございます!世界が終焉を迎えるとき、好きな映画を観るか好きな音楽を聴くか、いまのうちに考えておこうと思う!プーチンのおっさん、穏やかになろうぜ!いでっちで~す★★★彡


∀・)はい、本作は世界が終焉を迎える時に姉のまえでカップラーメンを黙々と食いながら、黙々とビールを飲む。それからセブンスーツもファミマスイーツも美味いよねっていうおはなしです。

バシッ!!


∀・#)ちゃんと話します。そういう終焉を迎える時に複雑な心模様をともに写しだす2人の双子が会話をするっていうおはなしです。この空間が絶妙で読み手を何とも言えない気持ちにさせてくれます。損はさせません。短編女帝、鞠目さまの傑作がまたここにも。ぜひ一読を☆☆☆彡

それも愛だったのかも

  • 投稿者: くろたえ   [2022年 06月 06日 04時 02分]
相手に問い、返ってきた言葉が気に入らないと怒る人。
決めつけの強い人は、自分も決めつける人だった
美しく賢く運動も出来る完璧な女性と。
努力をした。承認欲求も強かった。
周りは称賛し、また次を求めた。
そのプレッシャーに押しつぶされた時、彼女は帰らぬ人となった。

その姉がある日部屋に居た。
あの時のまま。
そして言う。
「今からちょうど一年後に世界が滅びるの」
姉が死んでからも社会人として生きてきた妹に動揺は見られない。いや、動揺はしても感情を表現するのが極めて下手なのだ。

妹にだけ知らされた1年のタイムリミット。

何をする?
自暴自棄になる?

妹は少し高いビールを飲んだ。
姉ばかり受ける称賛の中で自分を慈しむ術を覚えた妹。

光と影のような双子。
嫌いと言いながら伝えに来たのはなぜ?
無視できない血の絆。

お互い、顔が見れて良かったね。

そんなちぐはぐな世界の終わり。

いわゆる終末モノでありながら日常モノのような魅力を持つ作品

明日世界が終わる、という書き始めは或る意味かなり使い古されているものであり、そこからどう物語を展開していくのかが各作者の腕の見せ所だと考えています。
こちらの作品は穏やかで、日常モノを読んでいるような感覚になれる不思議な作品でオススメです。
もし自分が世界の終末を知ったからとして、こんな風に穏やかに過ごせるかなぁと思いながら読みました。
個人的には朝食をはじめとした食事関係の記載がおいしそうで好きです。

終末を迎える、その心。

人類滅亡の日がやってきた。


絶望的なフレーズから始まるこのお話は、いつもの朝が始まるような淡々とした文章で紡がれていきます。

いつも通りの朝。
いつも通りの朝食。
いつも通りの出勤。
いつも通りの仕事。

まるで、何事もないかのように、今後の事も含めて仕事をこなす主人公の女性。

まるで、何事もないかのように、帰宅してビールを片手に物思いに耽ります。

そうして思い起こされる、かつて告げられた話……。


思い残すことはないのか?
なにかできることはないのか?
後悔はないのか?


私には、最後の瞬間に、ぽつりと漏らした一言が、全てを物語っているかに思えて。


終末は、いつ訪れるかなんて誰にも分かりません。普通は。

そうなった時、良い終末だと、胸を張って迎えることができたなら。

なかなか難しいかもしれないけれど、日々を後悔なく過ごせたらいいですね。

今まで読んだことのない終末もの

今日、世界が滅びると知ったら貴方はどうしますか?
私は慌てます。無駄な足掻きをしまくります。

じゃあ、今から一週間後に世界が滅びると知ったら?
……やっぱり慌てるし、無駄な足掻きをするでしょう。

じゃあ今から一ヶ月後だったら?
今から一年後だったら?



普通、終末ものの小説って、パニックジャンルですよね。
違うとしたらSFやアクションバトルとかでしょうか。
滅びゆく世界のなかで、男女の愛がより強く結び付く恋愛ジャンルもありそうですね。

本作品はそのどれとも異なる純文学です。
海の凪のような主人公の心を波立たせたかった姉の目論見は、果たして達成されたのでしょうか?

読んでみて貴方なりの解釈をしてみてください。
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